県南地方でフェルメール展がありました。
フェルメールの全作品37点を精巧な複製画で展示してました。

フェルメールのファンは全作品を見るのが夢で、そのため世界を旅すると聞いてます。

オランダのハーグにマウリッツハイス美術館というこじんまりとした美術館があります。
そこの小部屋にフェルメールの代表作、「青いターバンの少女(真珠の耳飾の少女)」と「デルフトの眺望」の絵が向かい合って展示されてます。

「青いターバンの少女(真珠の耳飾の少女)」は、うるんだ瞳が自分を見ているようで、そう感じると身動き出来なくなります。しばらく直立不動でした。シーズンオフで観客が誰もいなかったので、感情の高まりを減衰することなく見続けてました。

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 「青いターバンの少女(真珠の耳飾の少女)」の複製画



「デルフトの眺望」は、日本と違って山が無いので空が広く感じます。雲の間から光が差し込む光景に出会うとこの絵を連想します。そして、このような雲を見ると「フェルメールの雲」と思ったりします。
運河のさざ波の描写は芸術家の技を感じます。さらに、手前の岸で別れの挨拶をしてるような婦人には生活感が漂い、洋の東西を問わずどこにでもある風景に思われて郷愁を感じます。

実際に、デルフトの街に行ってみると、(残念ながら)運河は護岸されてて、当時の面影は輪郭程度しかありません。そして、「デルフトの眺望」は絵と違ってました。教会の尖塔を目印に街を探訪すると、広場を挟んで二つの教会の尖塔がありました。よって、実際の尖塔はもっと接近してました。絵の中にノンフィクションとフィクションが入り混じった小説家的な意気込みを感じました。

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  「デルフトの眺望」の複製画  ※この展覧会は撮影OKでした。



ところで、これらの絵を見ていると、彫刻家の高村光太郎の「芸術家と職人の違いは、芸術家には魂が入ってる。」という言葉を思い出します。やはり本物とは雰囲気が違います。

しかし、フェルメールの全作品を一堂に見れる機会は不可能に近いため、価値ある展覧会だと思います。