3月15日、あおもりアロマ研究会の例会があり、テーマは「あおもりクロモジをもっと知ろう!」であった。

最初にクロモジ精油の各成分について、それらが多く含まれている他の精油を嗅いだ。例えば、主成分のリナロールの場合はラベンダーである。次に、香りの経時変化について検討した。

オオバクロモジ(青森県産クロモジ)精油の成分は、リナロール、シネオール、酢酸ゲラニル、リモネン、αーピネン、ゲラニオール、カルボンなどで、モノテルペン類の割合が高い。
そこで、各成分について、これらが多く含まれている次のような精油を嗅いだ。
  
  リナロール       ラベンダー        
  シネオール         ローレル、ローズマリー、カルダモン
  酢酸ゲラニル      ゼラニウム、パルマローザ、ローズ   
  リモネン      オレンジ、リモネン       
  αーピネン          フランキンセンス、αーピネン     
  ゲラニオール    ローズ、パルマロ-ザ、ゼラニウム    
  カルボン          スペアミント 

これらには、仁丹やメンタームを連想させるものがあって、精油が立派に薬品になってることを実感した。そして、これらの精油はそれぞれに特徴があって、当然ながらクロモジとは別物である。ところが、これらの試香紙を束にするとクロモジの香りがした。これには少し驚いた。
また、これらの精油の多くは一本調子なのに対して、クロモジのほうはやや複雑な香りがするような気がする。これは枝葉から採油しているからだと思われる。一般に葉の成分は軽く、枝(材)の成分は重いと言われている。
      
次にオオバクロモジ精油の香りの経時変化についてみた。試香紙につけて、直後、1分後、5分後、10分後、30分後に嗅いだ。直後から10分後位までは、甘く爽やかな香りがする。それ以降は、木のような樹脂のような香りが混じってくる。恐らく、最初のはリナロールを中心としたモノテルペン類だと思われる。

ところで、ある方が次のような感想を言った。
「最初はスッキリした感じだが、30分もすると眠くなった。」
狙い通りの評価にうれしい限りである。私はこの考えに達するに1年以上かかったが、この方はいとも簡単に言い当てた。一般に葉の成分はスッキリさせて、枝(材)の成分は落ち着かせる作用があると言われている。言ってみれば、覚醒と鎮静作用があって気分を元に戻すような感じである。あおもりアロマ研究会の皆様、貴重なご意見ありがとうございました。

遅くなりましたが、この機会に先月(2月7日)行われた講演会、「あおもりクロモジ精油の健康機能」について報告します。講師は弘前大学、岩手大学兼任助教授の前多先生です。あおもりクロモジ精油の抗ガン作用、抗炎症作用についてお話されました。少し専門的になって恐縮ですが、内容は次の通りです。

クロモジの主成分のリナロールには抗がん、抗炎症作用が報告されている。そこで、青森県産クロモジ(オオバクロモジ)精油を用いて血液のがんである白血病に対して検討した。ヒトの前骨髄性白血病細胞に青森県産クロモジ精油を添加したところ、細胞をアポトーシスにより死滅させ、さらに正常な血球の細胞に戻す作用を示した。(図1、引用文献1)

次に、抗炎症作用についても検討した。炎症を起こしたマクロファージの細胞にクロモジ精油を添加すると炎症によって出てくる様々な悪い物質(サイトカイン)の分泌が抑えられることがわかった。(図2、引用文献2)

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   CCF20150322_00000

 引用文献

1)Maeda H,Yamazaki M,Katagata YExperimental and therapeutic medicine3,49、(2012)

2)Maeda H,Yamazaki M,Katagata YBioscience,biotechnolgy,and  Biochemistry
    77、(3)、482、(2013)