鎌倉時代の随筆、徒然草の第六十八段に「大根の恩返し」があります。

内容は次の通りです。
館の主が、大根を何にでもよく効く薬だと思って毎朝食べてました。
ある日、屋敷に誰もいない隙をみて、敵が攻めてきました。
その時、見知らぬ兵士が現れて、命を惜しまず戦って、敵を追い返しました。
館の主が、「あなたは誰ですか。」と聞いたところ、「長年頼みにして、毎朝食べてる大根です。」と言って消えてしまいました。

そして、この段の結びに、「深く信をいたしぬれば、かかる徳もありけるにこそ。」と書いてます。

鶴の恩返しや、助けた亀に連れられた話しなどありますが、植物の恩返しは珍しいと思います。
花好きの人や野菜を作る人々が、植物に話しかけたり手間掛けると、出来栄えが違うというのをよく聞きます。
さらに、「メェー、メェー(津軽弁でおいしい、おいしい)」と言って、羊になって食べると栄養になるそうです。

では、クロモジの場合はどうでしょうか。
枝葉を切られてご迷惑でしょうが、雑木から有名木にしようとしてます。
恩返しは要りませんが、恨まないようにお願いします。

ということを思いながらクロモジの採取をしてます。